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1.手指衛生(手洗いまたは速乾性手指消毒薬の使用)の方法



■手指衛生(手洗いまたは速乾性手指消毒薬の使用)の必要性

在宅ケアにおける感染対策の中で、とても重要でありながら、しばしばなおざりにされているのが手指衛生です。人の手の表面には無数の微生物が常に存在します。また、手には外部からさまざまな微生物が付着します。さらに、便には多数の微生物が存在し、血液には危険な微生物が存在することもあります。複数の在宅療養者を担当する在宅ケアスタッフには、手指衛生に関する注意が特に必要です。


■手指衛生の方法

手指衛生には手洗いと速乾性手指消毒薬を使用する方法があり、手洗いには石けん(薬用石けんを含む)、または手洗い用消毒薬(スクラブ剤)を用いる方法があります。つまり、

  1. 石けんでの適切な手洗い

  2. 手洗い用消毒薬(スクラブ剤)での手洗いによる手指消毒

  3. 速乾性手指消毒薬での手指消毒

の3つの方法があり、場合に応じて、下記の表のように選択します。なお、アルコール綿(アルコールの揮発による濃度低下がないよう、適切な方法での保管が必要)で手を拭いて手指消毒することもあります。


■手指衛生方法の選択

手に目に見える汚れのない場合
(通常の手指衛生)

石けんによる適切な手洗い
もしくは
速乾性手指消毒薬の使用

手に目に見える汚れのある場合

石けんによる念入りな手洗い
もしくは
手洗い用消毒薬(スクラブ剤)での手洗い


■石けんまたは手洗い用消毒薬(スクラブ剤)での手洗い方法

スクラブ剤


■速乾性手指消毒薬の使い方(目に見える汚れのない場合のみ)

ラビング法


■在宅ケアスタッフの訪問先の状況による手指衛生の選択方法

在宅ケアスタッフは訪問先の在宅療養者・家族の都合により手洗い場を確保することが困難な場合があり、手洗い場が確保できる場合とできない場合では手指衛生の方法が異なります。


必要な物品と準備

手洗い用品は各ケアスタッフが自分専用物品を準備して、各家庭の物はできるだけ使用しないようにします。手洗いに使用する物品は、スタッフ自身が準備するのではなく、事務所などからスタッフへ提供し、手洗いの徹底を図っていくのが望ましいと考えられます。
また、あらかじめ在宅ケアスタッフの方には手洗いや手袋の着用、それに伴う環境整備などの必要性と方法を説明し、在宅療養者・家族から手指衛生についての理解と協力を得ることも必要です。


■手指衛生の選択方法


手洗い場が確保できる場合

手洗い場が確保できる場合は、前述した手指衛生(手洗いまたは速乾性手指消毒薬の使用)の方法に従って行います。
また、手洗い時の石けんとして固形石けんをケースに入れて持ち歩く場合、水分がグラム陰性菌*1 を成長させる可能性があるため、固形石けんの使用はおすすめできません。なるべく小容量の液体石けんを使用し、使い切るようにします。詰め替えて使用する場合は、液体石けんを使い切った後に容器を洗浄・乾燥させ、詰め替えることが望ましいとされます。さらに、液体石けんを使用の際は、容器口部には触れずに使用することで、容器内の汚染を防ぎます。
手洗いの後はペーパータオルで手を拭き、そのペーパータオルで水道の取っ手やレバーなどを覆って水を止めて、取っ手やレバーからの手の再汚染を防ぎます。


手洗い場を確保できない家庭の場合

手洗い場が確保できない場合、前述した目に見えて汚れがあった場合の手洗いが行えません。そのため、付着した有機物(汚れなど)を除去するために、使い捨てタオルやウェットティッシュを使用し、その後に速乾性手指消毒薬を使用することで代用します。手指に汚れなどが付着している状態で用いた場合、十分な消毒効果が得られないこともあるため、汚れは取り除くことが大切です。
いずれの場合においても、ケアの際に手指に汚れが付着することが予想される場合には、手袋の着用を考慮する必要があります(手袋着用の前後にも手指衛生は必要です)。他にもアルコール綿(アルコールの揮発による濃度低下がないよう、適切な方法での保管が必要)で手を拭いて手指消毒をする場合があります。
日常的に頻回の手洗いを行っていると、手荒れを生じることが多いと考えられます。手荒れ部分には健常皮膚よりも微生物が多く存在していることが知られています。また手荒れによる痛みなどから、必要なときに手指衛生を行わなくなるなどの悪影響を及ぼす可能性があります。日常のケアにおいて適切な手指衛生を行うためにも、ハンドクリームを使用し、手荒れに配慮します。ハンドクリームは共用を避け、使用の際は容器口・内部に触れずに取り出して容器内の汚染を防ぎます。


*1 グラム陰性菌:病院・家庭・職場などの入浴水・花瓶水などの溜水、浴槽・洗面台・洗面用具などの湿った室内環境・用具から頻繁に検出される微生物の種類。

【医療従事者のためのリンク】衛生的手洗い



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